日本の刑務所は受刑者の犯罪傾向、性別、刑期、国籍等によって分けて収容することとなっている。つまり初犯者、再犯者、長期受刑者、短期受刑者などは基本的に区別されそれぞれ対応した刑務所へ収容される。
例えば私がもし何かしらの犯罪を犯し収監される身となれば、おそらく収容分類級でいえばA(犯罪傾向が進んでいない者)、Y(26歳未満の成人 )となるのでYA級となる。重犯罪ならLA級(26歳未満で10年以上の刑期)。おそらく黒羽、市原、横浜、千葉刑務所に収監されることとなる(下記画像参照)。
どの刑務所へ入りたいか希望先を伝えることはできるが基本的に通ることはない。しかし上記のように自分の犯罪傾向と刑期などを当てはめていけばどこの刑務所に収監されるかは大方予想がつくようになっている。
令和3年の無期刑受刑者数は1725人。仮釈放された無期刑受刑者は9人。平成24年から令和3年までの統計では106人。
現在の無期刑は仮釈放審理が行われるまで最低30年の服役が必要となる。本来であれば刑法28条の通り10年経過すれば仮釈放の許可が下りるが、2004年の刑法改正によって有期刑上限が20年から30年へ長期化されたことに影響を受け20年未満での仮釈放がなくなったとされる。
受刑者は50代が多く(410人)、次いで60代が376人。70代は371人。高齢化が進んでおり刑務所が介護施設化、無期刑受刑者が無期刑受刑者を介護するのを「無期無期介護」と皮肉られている。
無期刑受刑者の大半の罪状は強盗致死傷もしくは殺人。
・マル特無期通達
以下、マル特無期通達の廃止を求める要請書 NPO法人 監獄人権センターから引用
“マル特無期通達の存在は、2002年1月8日の「朝日新聞」夕刊の報道ではじめて明らかとなった。「朝日新聞」の記事によれば「『マル特』に指定されるのは、動機・結果の悪質性のほか『前科・前歴、動機などから、同様の重大事件を再び起こす可能性が特に高い』などと判断した事件である。具体的には、地検や高検は最高検と協議。指定事件に決まると判決確定直後にまず、刑務所側に『安易に仮釈放を認めるべきではなく、仮釈放申請時は特に慎重に検討してほしい』『(将来)申請する際は、事前に必ず検察官の意見を求めてほしい』と文書で伝え、関連資料を保管する。その後、刑務所や同委員会から仮釈放について意見照会があった際に、こうした経緯や保管資料などを踏まえて地検が意見書を作成する。」とのことである。”
無期懲役は終身刑とは異なり仮釈放の可能性がある刑ではあるが、マル特無期は仮釈放許可は下りることはほぼなく事実上の終身刑となる。
刑務所内で他害行為または自傷行為をすれば保護室と呼ばれる部屋へ送られる。部屋のつくりは閉鎖病棟の保護室と同じ。トイレと布団のみが用意された簡素な部屋であり、自傷行為防止のため壁と床は柔らかい材質に変えられている。トイレを詰まらせないため流すボタンは外側に設置されており、室内は監視カメラで常に記録されている。
以下、刑事被収容者処遇法79条1項2項
刑務官は、被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合には、刑事施設の長の命令により、その者を
保護室に収容することができる。
一 自身を傷つけるおそれがあるとき。
二 次のイからハまでのいずれかに該当する場合において、刑事施設の規律及び秩序を維持するため特に必要があるとき。
イ 刑務官の制止に従わず、大声又は騒音を発するとき。
ロ 他人に危害を加えるおそれがあるとき。
ハ 刑事施設の設備、器具その他の物を損壊し、又は汚損するおそれがあるとき。
収容期間は原則72時間だが必要性があれば延長可能。
79条3項によると刑事施設の長は48時間ごとにこれを更新することができる。
保護室以外にも静穏室というものもありこれは大声、騒音等を発し生活環境を乱す者の為に設置された。
以下「受刑者の皆さんへ(改訂第1項版)」より引用。
“──
保護室とは異なり、通常の居室に近い形状で、トイレの水も自分で流せるようになっていますが、テレビ・ラジオ等は設置されていません。
静穏室は、大声・騒音を出して職員の制止に従わない場合に、収容するため
の居室ですが、
保護室への収容のような手続を取る必要はありません。静穏室
への収容対象者は、①大声又は騒音を発する者、②過去に大声又は騒音を発し
たことがあり、現在の動静から、同様の行為を繰り返すおそれが認められる者
のうち、自身を傷つけるおそれや施設の設備、機具を壊したり、汚したりする
おそれが少ない者とされています(「静穏室等への収容について」平成23年
3月7日矯成1256矯正局成人矯正課長等通知)。”
保護室に収容されてなお状況が改善されない場合又は
精神疾患を患っている受刑者は
医療刑務所へと移送され観察室とよばれる部屋に収容される。
保護室との違いは医者がいて部屋一面がガラス張りであるということ